代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第26話 成長幹部は、実践を重視する  衰退幹部は、学びを重視する

「木村さん、あいつらに、気づきを与えてほしいんだよ」と、ある社長に言われた際、丁重にお断りしたことがあります。

「気づき」「学び」というのは、変化には、十分ではないと私は考えているからです。

例えば、海外に進出した選手が言葉の問題があって上手く活躍できない、という話を聞いて、「やっぱり英語は勉強したほうがいいよな」という「気づき」を得ても、別に何も変化が起きない人のほうが圧倒的な多数であることが事実。

例えば、年俸数十億円となったスポーツ選手が、成功の秘訣を聞かれて、「素直に師の教えをひたすら実践したこと」と述べるのを見て、「『素直さ』って成功の第一条件だな」と「学び」ながら、先週と今週何も行動が変わらない人の方が圧倒的に多いのが事実。

残念ながら、気づき、学びを幾ら繰り返しても、1mmも変わらない人達の方が大多数。

とすると、研修や、セミナーで、「気づき、学びを得ました!」というアンケート結果があっても、それに一喜一憂するようではまったく話にならないということです。


 

組織で成果を出し続けている幹部は、このことを心得ています。

「気づき」、「学び」を行動に落とし込むことに長けています。「気づき」を、小さな行動変化の「築き」に確実に導きます。

「学び」は、そもそも「学び」の語源である「真似び」から、具体的に「真似る」ことに落とし込むのです。

気づき、学びは、変化を起こす潜在的な要因にはなります。でも、それだけでは十分ではなりません。「気づく」という私達の意識や、「すごい!是非やりたい」という感動は、移ろい易く、浮かんでは消えていくもの。

組織で成果を上げる幹部は、こうした意識を行動に打ち付ける術を持ってなければ、業績アップができない。

この変化、行動を打ち付ける技術は、やり方を知らない人にとってはまるで、ブラックボックスのようなものです。

知らない人からすると、組織で成果を上げる幹部が人や組織を動かす様をみて、どうやったら、あんなに人や組織を動かすことができるのだろうと不思議になるのです。

私自身が若い頃にそれを経験しました。

言ってることは同じなのに、「一体どうやって、あんなことできるのだろう。」一生懸命考えて、目をこらしても、ちっともその秘密を解読することができませんでした。

ロジックが見えないので、魔法のように感じたのを覚えています。
そう、知らない人にとっては、魔法。そして、「あーあ、自分に素質がない」と落ち込む(^_^;)

こちらについては、これまで100社以上で導入支援してきていますが、マネジメント未経験の方々でも、数ヶ月で
習熟でき、まさに、組織での成果を創り出していくことができる技術です。


 

さて一方、一人頼みの組織や、業績が低迷停滞している組織では、幹部が気づきを変換する技術をもっていません。そもそもロジックが分かっていないので、「気づき」「学び」が解決策だという勘違いすらするのです。

最初のうちは、「気づき」「学び」の後、一瞬行動が変わることがあります。しかし、長続きしません。

それを知りつつも、自身で変化を作る力がないため、外部からの刺激に頼らざる得ないのです。カンフル剤と分かっていながらも、それなしでは、変化を作り出せない。


 

組織を率いることはできないけど、自分はスーパー営業マンや、スーパープレーヤーの人は、こう言います。

「俺にだって出来るのだから、アイツにもできるはずだ!」
「俺なんか別になんの勉強もしなくてもできた。」
「ただ、やらないだけ」等々。

これがまた全く悪気がないから、始末に悪い。

信じてるからこそ、何度も繰り返し繰り返し、部下に言って聞かせる。だけど、部下は動かない。正確にいうと、動けないのです。

ところが、スーパー営業マン、スーパープレーヤーは、その状況を見て、次のように解釈します。「まだ気づいてない」と。

それで、更にヒートアップして、しかり飛ばす。更に黙る。更にヒートアップ、、、。


 

先日お会いした、ある部門の40才の強面の部門長もそうでした。

「何やってたの?なんでやってないの?」と部門長が詰問する。
「言い訳なですけど、時間がなくて、、、」と部下。

部門長はぶち切れます。「時間がないんじゃなくて、要領が悪いんだろう!!!」

こうなると、相手はもう黙ってうなだれるしかありません。ところが、部門長は、その姿をみて、更にヒートアップ、、、 必死で相手に理解を促してのことなのですが、全くの逆効果。


 

どれだけ、声を大きくしても、どれだけ、熱弁を振るっても、状況が改善しない。相手に問題があると考えると、今度は外部に自分の意を代弁してくれる人を探します。

そして、「なんとか、気づきを与えてくれないか!」となるのです。

一時的な高揚という効用はあるのですが、その効用は長続きしません。また、このカンフル剤の効果は、麻痺していきますので、 カンフル剤の効果は低減していきます。

カンフル剤が効果が見られなくなると、手法を知らない幹部にとっては手詰まり状態です。
そして技術をもたない幹部はこう言います。「どいつもこいつも、やる気がない」

これはもう悲劇です。

幹部は、人を成長させる手法を持たずに、幹部自身の役割を果たすことはどう考えてもできません。

 

さて、

御社の幹部は、気づき、学びを、変化行動に変える術をもっているでしょうか?

それとも、気づき、学びを得た社員の言葉に、一喜一憂しているでしょうか?