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代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第20話 衰退組織にはフローがある。成長組織には、ストックがある。

20-02以前ある方からご紹介されて、一人の経営者の方にお会いしました。 30代後半の経営者。振る舞いは控えめながらも、自信満々な方。

聞けば、ここのところ業績は拡大基調。直近4期は、前年対比15%以上を達成だそうで、自信満々なのもうなづけます。5年で売上げが倍になる計算ですから。

そこで、組織も拡大の一途の中、「マネジメント職を増やしたい。」「現場のスタッフを増やしたい。」という意向で、大量採用をしているとのことでした。

一見すると順風満帆なようでしたが、その経営者の方には心配事がありました。心配事はといえば、「人を入れても、入れても、人が辞めていく」こと。「環境が厳しい。」「仕事が厳しい。」という理由で辞めていくそうなのです。

そして、頑張ってる人が辞めていく人を見て、また人が辞めるというドミノ現象もあるとのこと。短い時間でしたが、その経営者に2,3聞いてみて浮かび上がってきたことがあります。

1つ目は、経営者自身、人が辞めることについては、とてもドライに考えていること。
2つ目は、社員育成はほとんど実行されてこなかったこと。
3つ目は、マネジメント層が怒鳴り散らす等、コミュニケーションの課題があること。

一番気になったのは、1つ目の「人が辞めることに関してとてもドライ」な点。改善したい、気になる、と口にはしながら、「合わない人は仕方がない」という言葉が話の端々に繰り返しでてきました。


 

離職率が高めの会社の場合、経営者が「短期的に人を見切る度合いが強くなっている」 場合が多く、サインとして受け取るべきです。

多くの企業を見てきて思うのは、採用後の社員をフォローする仕組みを持たない企業の経営者が「人を短期的に見切る」場合、人が育つことはまずないと言うことです。


 

成長が持続している企業では違います。一見ぱっとしない人も、じっくり育て上げていきます。

とはいえ、現場を預かる幹部は「ダメ社員を辞めさせる許可」を得ようとアノ手この手で経営者に言い寄ってきます。

「言っても動かない」「注意しても直らない」「挨拶がない」「根性がない」etcとダメ社員がダメな理由を挙げ連ねるわけです。

経営者だって、かつては自分が通った道。現場のいうことは痛いほど分かっています。しかし、ガンとして首を立てに振らない。 部門長に対して「まだ見切るのは早い!!」と突き返すのです。


 

年率二桁の成長を5年以上続けている支援先の企業の経営者はこう言っています。

「人は使いよう」
「いい人なんかいない」
「半年、一年じゃわからない」
と。


 

創業時は、人を育成する余裕なんかどこの会社にもありません。 これは、割り切って考える以外他にないのです。現金に余裕ないですから。

ところが、多くの会社は規模が拡大してからも、同じやり方を引きずります。 かつてのやり方が仇になっているのに、本人達は気がつかない。

戦略が間違っているのを正当化するときは、決まって、 気合い根性論が出てきまから、これがまた始末が悪い。


 

話を戻しましょう。

離職が高いと、ノウハウが組織に蓄積しません。上層部は、強がりを言うもものの、現場は大混乱。離礁はまた次ぎの離職を生み出します。

こういう組織は建物に例えれば、継ぎ接ぎだらけの掘っ立て小屋です。何かの拍子にグシャリです。筆者はこのグシャリ、経験者です(苦笑) ヨロヨロとした、掘っ立て小屋は一気に倒壊します。


 

経営者がこの問題(高い離職率)を既に認識していながら、改善できない場合、冒頭にお伝えしたような深刻な問題に必ず直面します。

経営環境が改善し、今こそ勝負の時という千載一遇のチャンスに打ってでれない。任せられる人がいれば、もっと事業を拡大できる状態になっても、打ち手が繰り出せない。

自ら機会損失を生み出してしまうのです。釈迦に説法ですが、景気には波があります。波に乗り損ねることは、自ら死を引き寄せているようなもの。

中長期で衰退する企業は、人が入るものの、同じだけ辞める。まるで、犬が自分のしっぽを追いかけてグルグルと走り回る状態となんらかわりません。前にも、後ろにも進むことなく、ただ、現状をせわしく過ごすのです。

衰退企業には、人の出入りのフローはあるのですが、人の蓄積、人のストックがないのです。


 

成長企業は、人が長く在籍するため、ノウハウが蓄積し、必然的にノウハウの共有が進みます。

経営理念、経営戦略、営業手法、顧客満足、、、企業をどの角度で切っても、蓄積(ストック) なしには、企業の成長はありえません。

以前も申し上げましたが、蓄積があるからこそ、成長企業は、ノウハウが人に依存しなくなります。 (14号参照)だから、成長が更に加速していきます。成長加速するには、やはり人の定着が欠かせないのです。

ノウハウの蓄積とその共有は、現場に余裕をもたらします。 転職した人が入っても、短期間で辞める機会も減るのです。このステージに移行する経営者は、意外と短期的に効果を実感します。一度体験すると、もう後戻りすることは まずありません。

いいことづくめの、人とノウハウのストック。

にも関わらず、 フロー状態のままの企業が多いのはなぜなのでしょうか?


 

フロー状態を続けていても、会社が回っていくという錯覚があることです。 この錯覚は、機会損失を生み出します。ところが、この機会損失は、目に見えにくい。

100m競争のように、ライバルがすぐ自分の横を走っているとしたら、 危機感も生まれるのでしょうが、機会損失は目をこらさないと見えない。

何かのきっかけで、機会損失に気がついたとしましょう。フロー状態の企業が、慌ててストック状態へ舵を切ろう思っても、具体的に何を始めたらよいかわからないことが多いのです。

人とノウハウのフロー状態をストック状態に変えるには、仕掛けが必要です。フロー状態は、仕掛けを使って、意図をもって創り上げるものです。

 

是非御社の状態に引き当てて考えてみてください。

もし、御社のフロー状態が、いまのまま5年間続いたとしたら、そして、その間に時にライバルがストック状態に転換していたら、 どんなことが起こり得るでしょうか?

御社には、フロー状態から、ストック状態に切り替える仕掛けはありますか?