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代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第19話 停滞組織には自己満足がある。成長組織には、組織満足がある。

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少し前のことですが、以前ご支援した企業の社長からある日お電話を頂戴しました。時々頂く社長の声は行動力溢れる主にぴったりな、張りのある声なのですが、その時は違いました。あれ?と驚くほど、焦燥感のある声で「一つ相談したいことがあるとのこと」「30分でもいいから時間が欲しい」とのことでした。

アポイントの当日、いつもとは違う社長室に近い会議室に通されました。すぐに社長が入ってきて、もたれ掛かるように椅子に座ると「実はねさ」と口火を切られました。


 

ご相談の内容は、新任の役員のHさんに関するご相談。

Hさんは、一流企業を渡り歩いた方でした。それぞれの企業には多大な貢献をされてきた方だったので、鳴り物入りで、入社したそうです。ところが、思ったような成果がでない。社長なりに、様々なアドバイスをしてみたものの、まったく変化が見られず困り果てているとのこと。

このところ、その方に関係するトラブルも続いて、他の役員からHさんに対する非常に厳しい評価が下っているとのこと。

役員会でもあからさまにHさんの失敗ばかりに注意が向けられるようになり、役員同士の関係がギクシャクしていきた。この状況に社長はとても気をもんでいたのです。

ちょうど多くの新聞にも取り上げられた新規事業の展開が始まる矢先のことで、役員一致団結して、その事業を推進しなければいけない時期でした。

ひとしきり話されると、「社内の力を結集するべき時なのに、、」と社長はため息交じりにおっしゃりました。


 

速やかな状況打開のためにと、思いつくままお話した私の提案はすぐ採用となり、コンサルティングが始まりました

コンサルティングを初めてみると、Hさんとほぼ同時期に役員として着任した方がいることがわかりました。

もう一人の取締役は、停滞していた既存事業の市場を広げて、前年対比20%弱の拡大を果たしていました。その成果から、古参の役員からも一目置かれる存在になっていたのです。Hさんと、もう一人の役員は、最初からよく比較されていて、Hさんの不振は、よりクローズアップされる状態にありました。

その二人の部門の会議に参加する機会があったのですが、対象的な会議であったのでとても印象に残っています。業績優秀な方の会議は活気があり、議論が活発。一方、Hさんの会議ではHさんが一方的に話し、殺伐とした感じ。

その後の個別面談でHさんと話をするうち、停滞組織の課題の一つがわかったのです。


 

停滞組織は、部門長の考え方に共通の特徴があります。このHさんの場合もまさにその共通する特徴に当てはまっていました。

2回目か3回目の面談の際に、Hさんに組織の課題を聞いたことがあります。すると、Hさんは組織の課題、営業戦略の課題、営業プロセスの改善点等々、理路整然とお答えになるのです。更に、話は、全社的な課題にも及びました。その論点明確。ごもっともな鋭い指摘が続きました。

 


 

一般的に、事業の失敗の原因として、戦略不在がやりだまに上がりますが、私はそうは思いません。Hさんの組織のように、停滞組織にも、営業戦略戦略案、組織改善案、諸々改善案があります。問題は、それが実行されないことです

Hさんの言葉にも、よく表されていました。 実行力が伴わない人は、自己満足的な発言が多いのです。

例えば、

「私は何度も言ったのですがね。」

「そうなりますよ。ってあれほど言ったのになぁ」

「○○って言っといたのですけどねぇ。どこまで分かっていただけたか。。。」

衰退組織には、このような組織のトップ、幹部の自己満足だけがあります。周りからすると、正論をいう自分に酔っているようにしか見えないのです。


 

一方、成長組織の場合は、違います。事業も組織も、生ものと割り切りがあります。何事も理論通り行かないことが前提です。正しい理論はそれほど価値がないのです。継続される改善活動にこそ価値があるのです。

「良さそう」「効率よくなりそう」なら、まずやってみてる。うまく行けば、ある程度やって、更に改善する。 うまく行かなくても、また、別のトライをする。この継続。

こうして運よくうまく行くときは、組織全体の満足度がもちろん上がります。一方、うまくいかなくても、組織全体の満足度は下がることはありません。なぜかということ、改善に向かった動いていることは皆承知しているからです。ただ、次のチャレンジをするだけです。

このように成長組織には、組織に関わる人みんなの満足があります。


 

停滞組織を率いる役員、幹部は、自己満足で終わることに対して疑念抱きません。

ある意味、それが思考のクセとなっているのです。もちろん、これも生まれつきではありませんので、解消する方法はります。

解消まで時間を要すると、組織を巻き込みますので、早めの対応が必要だと私は思います。放っておくと、「組織は頭から腐る」を地で行くことになります。このトップの思考のクセが、組織全体に及び、停滞、衰退を招くのです。


 

さて、この新任役員のHさんには、後日談があります。

何回かとの面談を経て、Hさんは問題の根本原因を解消することに成功しました。すると、面白いように組織の問題が改善していきました。

Hさん率いる組織からは、不平不満が一切なくなりした。離職も減りました。そして、売上げが上がり始めたのです。

最初にお会いしたから1年後。Hさんの組織は、社長がべた褒めする組織に変わっていました。

社長が満面の笑みで言ってくれたことを覚えています。

 

「木村さん、H君のとこ、、社内で一番の稼いでるよ」と。